花粉症とは

花粉症とは、花粉によって生じるアレルギー反応です。
アレルギー反応とは人間が本来もっている体外からの侵入物に対する除去反応が、過剰に出現したものです(花粉を吹き飛ばす→クシャミ・花粉を洗い流す→涙)。

花粉症の約70%はスギ花粉症だといわれています。また、スギ花粉症の患者数は人口の約16%に上ると推定されています。これは森林のなかでスギ林の面積が森林面積の18%、国土面積の12%と、最も大きい面積を占めているためと考えられています。スギ花粉症は主に2~4月に大量に飛散しアレルギー症状を引き起こします。

もうひとつの代表的な春の花粉症の原因になるヒノキはスギより遅れて3~5月に大量に飛散します。ヒノキ花粉にはスギ花粉と共通したアレルギー抗原があるので、双方に対し花粉症症状を起こす方も多くいらっしゃいます。

春季に鼻炎症状で当院を受診された方について、来院状況をこちらからご覧いただけます。
花粉症症状の季節変動


花粉症の症状

花粉症の症状は主に鼻と眼にあらわれますが、花粉飛散開始とともに症状がみられる人もいれば、花粉が大量に飛散するまで無症状の人もいます。また、その年の花粉飛散数によっても症状の程度は変わります。
重症の方では微熱、倦怠感、皮膚のかゆみ、のどのイガイガ感など、全身の症状がみられることがあります。

鼻炎症状
くしゃみ・鼻汁・鼻づまり(鼻の3症状)。花粉がない状態でも慢性的な鼻の腫れのために鼻づまりの症状があります。
初めて花粉症になったときには、検査をしなければ、かぜと間違う場合もあります。
結膜炎症状
目のかゆみ・涙・目の充血
そのほかにも・・・
鼻で吸収されなかったスギの抗原成分が鼻からのどへ流れ、のどのかゆみ、咳を生じます。
鼻づまりによる頭痛や、鼻やのどの炎症反応にともない微熱・だるさなどの症状に悩まされます。

花粉症の治療

花粉症の治療は、抗アレルギー薬の鼻水止めや目薬・点鼻薬など症状に対する治療である対症療法と、体質の改善を試みる根治療法の大きく2種類に分けられますが、現時点で一般的な治療は対症療法となります。

花粉症の初期療法

毎年激しい症状がみられる患者さんには、初期療法が有効です。

初期療法とは、花粉が飛び始める1~2週間前からお薬の服用を開始する治療のことです。あらかじめ抗アレルギー薬を服用しておくことで、花粉が侵入したときのアレルギー反応を緩和することができます。それによって、花粉症症状が出る時期を遅らせ、花粉シーズン中の症状を軽くし、症状の終了を早める効果があります。

ただし、初期療法で症状が軽くなったからといって花粉シーズンの途中で服薬をやめてしまうと症状が悪化することがあります。花粉シーズン中は服用し続けることが大切です。


花粉症の対策

花粉が家の中に入らないようにしましょう

  • 部屋を換気するときはできるだけ窓を小さくあけて、短時間にとどめましょう。
    換気するときはレースのカーテンで花粉をさえぎりましょう。また、換気は花粉の飛散量が少ない早朝や夜にしましょう。
    空気清浄機で部屋の中に入り込んだ花粉を取り除きましょう。
  • ふとんや洗濯物は外に干さないようにしましょう。外に干した後は、振るったりたたいたり花粉をよく取り除くようにしましょう。
  • 家の中に侵入した花粉は床やカーテンに付着して残存しやすいので、こまめに掃除しましょう。

外出するときは

  • マスクをつけましょう。花粉症用として市販されているような、鼻やあごにフィットするものがよいでしょう。普通のマスクを使用する場合には、内側にガーゼを厚めに入れると花粉の侵入をより防ぎやすくなります。
  • ポリエステルなどの、表面がすべすべして織目のつまった素材の衣服で出かけましょう。ウールの衣服は花粉がつきやすいので避けましょう。
  • 髪に花粉がつかないように、外出する時には帽子をかぶり、髪は帽子の中に隠しましょう。
  • めがねをかけましょう。ゴーグル型のめがねがより有効といわれています。コンタクトレンズは花粉症のアレルギー性結膜炎を悪化させる可能性がありますので、めがねを使用しましょう。

外出から帰ったら

  • 自分だけ気をつけるのではなく、家族全員で協力して花粉を家に持ち込まないようにしましょう。
  • 玄関に衣服などに付着した花粉を落とすためのブラシなどを準備しておくとよいでしょう。
  • うがい・手洗い・洗顔を行い、皮膚や口・鼻の粘膜についた花粉を洗い流しましょう。