熱中症とは

熱中症とは、高温多湿な環境下において、体内の水分及び塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れたり、体内の調整機能が破綻するなどして発症する障害の総称です。

体温を上げないために以下のような仕組みがありますが・・・

  1. 皮膚の表面から空気中へ熱を放出する。
    体温よりも気温が低ければ、皮膚から空気中へ熱が移りやすく、体温の上昇を抑えることができる。
    ※しかし・・・気温が体温より高くなると、空気中への熱の放出が難しくなる。
  2. 汗をかき、汗が蒸発するときに熱を奪う作用(気化熱)を利用する。
    湿度が低ければ汗をかくことで熱が奪われ、体温を上手にコントロールすることができる。
    ※しかし・・・湿度が75%以上になると汗をかいてもほとんどほとんど蒸発しなくなる。

気温が28度を超えるような暑い日や梅雨明けなどで急激に気温が上がって身体が順応できていないような場合に、これらの体温を上げないためのメカニズムが破綻すると、体温の過剰な上昇や体内の水分・塩分の喪失がおこり、下記のような熱中症症状を引きおこします。


熱中症の症状と分類

Ⅰ度

症状

  • めまい・失神・・・「立ちくらみ」のこと。「熱失神」と呼ぶこともあります。
  • 筋肉痛・筋肉の硬直・・・筋肉の「こむら返り」のこと。「熱痙攣」と呼ぶこともあります。
  • 大量の発汗

対処法

  • 日陰やエアコンの利いた室内など涼しい場所へ移動して、衣服をゆるめて安静にして水分を補給をしましょう。

Ⅱ度

症状

  • 頭痛・気分の不快・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感・・・
    「体がぐったりする」「力が入らない」など。従来「熱疲労」と言われていた状態です。

対処法

  • 日陰やエアコンの利いた室内など涼しい場所へ移動して、安静にしてエアコンや扇風機などで体をひやしましょう。
  • スポーツドリンクなどで水分と塩分を補給をしましょう。
  • 症状が改善しないようなら医療機関を受診しましょう。

Ⅲ度

症状

  • 意識障害・痙攣・手足の運動障害・・・
    「呼びかけや刺激への反応がおかしい」「ガクガクと引きつけがある」「真直ぐに歩けない」など。
  • 高体温・・・体に触ると「熱い」という感触があります。従来「熱射病」と言われていたものが相当します。

対処法

  • 周りにいる方はすぐに救急車を要請しましょう。
  • 周りにいる方に日陰やエアコンの利いた室内など涼しい場所へ移してもらい、体に冷水をかけたりエアコンや扇風機、ぬれタオルを首や脇や股にあてたりして体をひやして安静にしましょう。
  • 意識がおかしいときに無理に水分を摂取させると嘔吐して気管に入る可能性があり、かえって危険です。

熱中症予防対策

お仕事をされている方は次の対策をとりましょう

  • 休憩時間を確保し、身体作業強度の高い作業を避けること。
  • 熱に慣れ、その環境に適応する期間である熱順化期間を設けること。
  • 自覚症状の有無にかかわらず、水分・塩分の作業前後及び作業中の定期的な摂取の徹底。
  • 透湿性及び通気性の良い服装等の着用。
  • 糖尿病、高血圧症、心疾患、腎不全等の方は医師と相談、労働者にも熱中症に対する注意を喚起する。
  • 「睡眠不足」「体調不良」「前日等の飲酒」「朝食の未摂取」等が熱中症の発症に影響します。
  • 作業開始前、作業中の巡視により労働者の健康状態の確認をしましょう。

ご高齢の方は特に注意が必要です

熱中症の約半数は65歳以上の方に起こっています。ご高齢の方は

  • 体内の水分量が少なくなっていること
  • 暑さや水分不足に対する感覚が低下していること
  • 暑さに対する体の調整機能も低下していること

以上の理由から熱中症に罹りやすい身体状態になっています。よって、下記のような点を心がけましょう。

  • のどの渇きを感じていなくてもこまめに水分補給をしましょう。
  • すだれや薄いカーテンで部屋の日差しをさえぎったり、風通しのよい部屋にいるようにしましょう。
  • 気温が高い日は、暑さを感じていなくても扇風機やエアコンを使用しましょう。
  • 涼しい格好で外出しましょう。

子供の熱中症のでは次のことに注意しましょう

子どもを十分に観察しましょう。
子供は発汗などの体温調節機能が十分発達していませんので、熱中症になりやすく、大人より注意が必要です。また、遊びに夢中で暑いことを忘れてしまい熱中症になる場合もあります。
顔が赤く、大量に汗をかいている場合は、涼しい場所で十分に休ませましょう。
外出時は照り返しに注意しましょう。
子供は身長が低いため地面からの照り返しの影響を強く受けます。このため、大人よりさらに高温の環境下にいる事になります。
適切な服装を選びましょう。
帽子をかぶせて、適切な衣服を選んで着せましょう。暑さに応じて脱ぎ着するよう教えましょう。
水をこまめに飲ませましょう。
暑い日に外出させる場合には水筒やペットボトルを持ち歩くようにしましょう。
日頃から暑さに慣れさせましょう。
本格的に暑くなる前から外で適度に遊ばせて暑さに慣れさせましょう。